訪問看護ソフトガイド
訪問看護の業務は、利用者のケアから請求業務などの事務作業まで多岐にわたります。
それぞれの業務のミスを少なくし作業時間を短縮し効率化したいと考える責任者やマネージャーの方は多いでしょう。
ここでは、訪問看護を新規展開する方、業務改善に悩まれている方やシステムの切り替えを検討している方に向けて、訪問看護ソフトの概要や選び方、導入の流れについて紹介します。
いつでもどこでも利用できるソフトを選ぶ前に押さえておきたい訪問看護の特徴
訪問看護ソフトを選ぶにあたって、改めて業務内容を整理すると必要な機能をイメージしやすいでしょう。ここではまず、訪問看護の特徴について確認します。
訪問看護とは、病気や障がいのある方の自宅を看護師などが訪問し、主治医の指示に基づいて看護を行うことです。以下のような点が特徴といえます。
- ・利用者の自宅でケアやサービスを提供する
- ・各分野の専門スタッフとの連携が大切
- ・利用者の状態などにおける情報共有が重要
訪問看護は、決まった施設ではなく利用者の自宅でサービスを提供します。対象となる年齢層は小児から高齢者までさまざまです。難病や精神疾患、リハビリなど幅広い分野のケアを行うため、看護師、主治医、理学療法士・作業療法士、歯科医師、薬剤師など、各分野の専門スタッフとの連携が大切です。適切なケアのために、利用者の状態や処置の記録などの情報共有が欠かせません。
訪問看護ソフトとは
訪問看護ソフトは、訪問看護の業務を効率化しサポートするシステム(ソフトウェア)です。
訪問看護の業務は、利用者の自宅を訪問しケアを行うだけではありません。適切なケアやサービスの提供のために以下のような事務作業が発生します。
- ・訪問看護計画書の作成
- ・訪問看護報告書の作成
- ・利用者の状態や処置の記録
- ・看護計画の修正
- ・カルテの管理
- ・レセプト業務
- ・職員への引き継ぎ(申し送り)
- ・関係者へ情報共有
- ・シフト作成・スケジュール管理
訪問看護ソフトは、このようなさまざまな事務作業の負担を軽減します。
訪問看護ソフトでできること
訪問看護ソフトでは具体的にどのようなことができるのでしょうか。訪問看護ソフトの種類はさまざまですが、各ソフトに共通することを3つ紹介します。
訪問記録の作成・共有
訪問記録の作成や共有がひとつのシステムで完結します。経過や処置の記録など多くの情報を一元管理することで、各スタッフ間の情報共有がしやすくなります。また、利用者の状態などが自動的に取り込まれるため、手書きの書類からパソコンへ転記する作業やその際の転記ミスなども防げます。
利用者家族との情報共有や連絡における機能があるものであれば、家族との連絡の行き違いといったストレスも少なくなるでしょう。
外出先での記録業務
事務所以外の場所でも利用者の状態などの記録業務を行えます。
訪問看護ソフトはインターネットを介して利用するクラウド型が多く、スマートフォンやタブレットなどのデバイスとネット環境さえあれば、いつでもどこでもシステムを使えます。外出先で訪問予定の確認、記録の入力・編集や閲覧ができ、記録作業のために事務所へ戻る必要がなくなります。
レセプト業務の効率化
訪問記録を活かしてレセプト・請求書を自動作成するなど、レセプト・請求業務の効率化が可能です。訪問記録の確認、明細書への転記、データと実績の付け合わせといった業務を省けます。エラーチェック機能があるソフトであれば、書類作成をやり直すといった二度手間を避けられます。
また、オプションで請求事務代行サービスがあるものもあるため、人員不足などで悩まれている場合は検討してもいいでしょう。
訪問看護ソフトの導入で期待できること
訪問看護ソフトを導入し業務効率が改善することで、以下のようなことが期待できます。
サービスの質の均一化
訪問看護ソフトを導入すると、利用者に関わる関係者が同じ情報をリアルタイムで確認でき、担当者が変わっても同じ質のサービス提供が可能になります。また、スタッフ間での情報共有やコミュニケーションが円滑になり、より適切なケアやサービスが提供できるでしょう。
訪問看護では、必要な看護の内容を明確にするためアセスメントを作成しますが、そのために必要な情報がデータで蓄積されることで的確な分析ができます。より質の高いサービスの提供を目指せます。
離職率の改善
スタッフの作業負担の軽減により残業時間が減り、スタッフの定着化が見込めます。採用コストや教育コストが抑えられるだけでなく、離職率の改善が期待できます。
記録のために事務所に立ち寄る必要がなくなれば、柔軟なワークスタイルを実現できるため、スキルのある人材を確保しやすくなるかもしれません。スタッフ層が厚くなれば、組織力も向上するでしょう。
売上アップ
訪問看護ソフトを導入することで、売上のアップが期待できます。
日々の事務業務における作業負担が軽減されるため、コア業務である訪問看護に時間を割くことができます。1人当たりの訪問件数を増やせるため売上アップにつながるでしょう。
また、スタッフの稼働率や訪問状況などがデータで蓄積され、レポートが自動で作成される機能があるソフトもあります。感情や印象などによる曖昧な情報ではなく、数値やデータによる定量的な情報によって、的確な経営判断ができるようになります。
訪問看護ソフトの選び方
訪問看護ソフトにはさまざまな種類があります。そこで、選ぶ際のポイントをいくつか紹介します。
使いやすさ
訪問先で使うことが多いため、その場で感覚的にわかるシンプルな操作画面のソフトがおすすめです。項目のレイアウトなどデザインがわかりやすいことで、ストレスなく使えます。
スマートフォンより画面が大きくテキストの文字や画像も確認がしやすいタブレットの利用が増えています。タブレットでの利用を想定している場合は、パソコンだけでなくタブレットにおける操作性が高いかどうかを確認しましょう。
機能
各訪問看護ソフトは、訪問看護の業務の負担軽減という目的は共通していますが、細かな機能はソフトによってさまざまです。
入力時間が大幅に短縮される音声入力が可能なもの、勤怠管理や給与計算・振込ができるもの、請求書をシステムから国保連へ伝送できるもの、売上分析などがあり経営支援機能ができるもの、開業支援が受けられるものなどがあります。
事業所の状況や規模などにより訪問看護ソフトに求める機能は異なります。求める機能について優先順位をつけておくとソフトを選びやすくなるでしょう。
対応できる帳票の種類
訪問看護では、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護記録書、訪問看護報告書、医療保険明細書および請求書などさまざまな帳票(記録書類)が必要です。
作成においては、普段から情報を整理・管理する必要があり不備なく作成しなくてはなりません。事業所で必要とする帳票のテンプレートがありさまざまな帳票作成に対応していると、業務効率の向上が図れるでしょう。
無料体験があるか
無料体験期間が設けられているソフトであれば、導入前に操作感を確認できます。
無料体験中も担当者よりサポートを受けられるため、操作方法や機能について詳しく案内を受けられます。実際に使うことになる現場スタッフに体験してもらい、意見を聞くのも良いでしょう。導入後について具体的なイメージがしやすくなり、スムーズな導入につながります。
サポート体制
希望に沿ったサポートが受けられるかどうかはしっかり確認しましょう。
ソフトを導入した直後や経験の浅いスタッフは、操作に不安がある可能性があります。そのような場合でもきめ細やかなサポートがあれば安心です。操作方法や訪問看護において、専門的な知識を持ったサポートチームがいると心強いでしょう。
また、サポート体制としてはメールや電話のほかオンラインや訪問サポートなどがあり、メーカーによりさまざまです。サポートの内容のほか、このような体制についても確認することをおすすめします。
訪問看護ソフト導入の流れ
一般的な訪問看護ソフトの導入の流れは以下です。
- 1.問い合わせ
- 2.打ち合わせ・デモンストレーション
- 3.契約
- 4.稼働・サポート
1.問い合わせ
気になる訪問看護ソフトに問い合わせます。営業担当者より連絡があり、ソフトの詳しい機能の説明を受けることができます。
2.打ち合わせ
打ち合わせでは、導入に向けた具体的なスケジュールの提示やデモンストレーションなどが行われることもあります。
要望や不安点などを伝えたり、他のソフトとの違いや特徴、導入事例などを確認しましょう。事前に、それぞれのスタッフの業務内容や作業の流れなどを整理し、改善点などを洗い出しておくと良いでしょう。それにより、ソフトを導入することで効率化が図れるかどうかを判断できます。
3.契約
ソフトにおける不明点がなく、内容に納得できたら契約となります。
4.稼働・サポート
各種設定を終え準備が整えば本稼働となります。また、システムに不安がある場合は、サポートサービスを利用しましょう。なかには、初回の請求業務を専門スタッフが徹底的にサポートしてくれたり、システム研修会が開催されたりするものもあります。
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